大きな鼻ほど強くてモテる!?テングザルってどんなサル?
2021年月02日08日
皆さんはテングザルをご存知でしょうか。
名前だけは聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
英語名でも“proboscis”大きな鼻という意味の名前がつけられており、誰がみても鼻が大きい猿であることがわかります。
今回はそんなテングザルについて解説していきます。
テングザルの生態
分類
霊長目オナガザル科テングザル属
生息地
ボルネオ島(インドネシア、ブルネイ、マレーシア)のマングローブ林、湿地林、河辺林などの木の上に生息しています。
泳ぎがうまく、水中で20メートル泳ぐこともできます。
森林伐採や森林火災、農地開発、エビの繁殖地の開発などで生息地が破壊されたり、食用や薬用の狩猟に生息数は激変しています。
現在は生息地での狩猟・捕獲は禁止されていますが、周知や資金不足による不十分な管理により徹底されていないのが現状です。
日本では、2020年にナサリス・ラルヴァトゥス(テングザル)として 特定動物に指定され2019年には愛玩目的(ペット)での飼育が禁止されています。
形態
体長 53〜76cm
尾長 55〜67cm
体重 10〜21k g
体は赤褐色で頬、お尻、手足、尻尾は淡い灰色をしています。
指の間には水かきがついていて泳ぐことができ、特徴的な鼻はオスの方が大きく長くなっています。
生まれた直後は顔が青く、鼻もそれほど大きくありません。
霊長類では初めて反芻(一度飲みこんだ食物を再び口中にもどし、よくかんでからまた飲みこむこと、牛や羊、やぎなどに見られる)が確認されました。
寿命
飼育下では20年程度。
メスは4年程度で性成熟し、オスは完全に性成熟するのに7年程度要すると考えられています。
具体的な外敵はわかっていませんが、ヒョウやワニ、キングコブラやミズオオトカゲなどに襲われると考えられています。
外敵が多い分、飼育下より自然下の方が寿命は短くなります。
鼻の大きさでモテ具合が決まる!?
その特徴的な大きなお鼻は食事の時に邪魔になることもあり、片手で鼻を押し上げて食べ物を口に運ぶ様子も見られます。
では、なぜそれほどまでに大きな鼻が必要になっているのでしょうか。
実は鼻は共鳴器の役割を持っています。
鼻が大きいほど大きく低い声を出すことができ、オスの強さを示しています。
また、実際に肉体的にも強く、繁殖力も高いという研究結果も出ています。
鼻の大きなテングザルは群れの中でも多くのメスを保持することができ、
視覚的にも聴覚的にも大きな鼻はメスを魅了する武器になっているようです。
胃が4つも!?牛のような胃を持つテングザル
植物は種子を動物に食べてもらい運んでもらうことで繁殖していきます。
葉は光合成し栄養分を作り出すために必要なので植物としては食ベて欲しくありません。
植物は果実(種子)を食べてもらいやすくするために美味しく消化しやすくし、
一方で葉は食べられないようにするために毒を入れたり消化しにくくする工夫をしています。
そのためサルの多くは探すコストがかかるが、食べやすく消化しやすい果実を食べる、という選択をしてきました。
しかし、テングザルたちは消化しにくいが、探さずに容易に食べることのできる葉を食べる、という選択をし他のサルとは違う成長を遂げたのです。
では、他のサルと何が違うのでしょうか。
違いは3つあります。
①牛や羊などのような3〜4つにくびれた胃をもつ ②腸にセルロースを分解できるバクテリアをもつ ③特定の毒素を摂取しすぎないように、色々な種類の葉を少しずつ摂取する
これらのことによりほかのサルが食べることのできない葉を食べることができるようになり、食料不足から開放されました。
しかし、悲しいことにこの特性を獲得したテングザルは、目の前にある熟れた甘い果実が目の前にあっても食べることができなくなってしまいました。
彼らの持つバクテリアに糖を与えると発酵が急速に進み、大量のガスによって最悪の場合、胃が爆発して死に至るようです。
もし、テングザルに会うようなことがあっても 可愛いからといってお菓子をあげるのは絶対にやめましょうね。